多段擁壁の難しさを知っていますか?
多段擁壁の難しさ
もし、あなたが買った土地に、想定外の事態が判明したらあなたはどうしますか?
自己防衛が自身の財産を守ります。
質問・・・・「多段擁壁」をご存知ですか?
図1は、よくある雛壇の住宅地をあらわしています。図1を見て「多段擁壁」を認識できていないあなたには、以下の説明をご覧いただけると幸いです
図1のような不適格擁壁が存在する土地があります。
下川さんは、この土地を購入し古い建物を取壊して、新しく擁壁を造り、その後新築住宅を建てる予定です。(図2参照)
上記の図2で示しているのが、多段擁壁の関係です。
では、何故、下川さんにリスクを与える可能性があるのでしょうか? 以下に説明をしていきます。
下記の図3は、高さ5mのRC擁壁をイメージしたものです。ここで注目していただきたいのは、底盤の後ろから引かれている35°のラインです。
この35°の角度は土質により変化します。ここで示している35°は、土質を関東ローム層で想定しています。(目次30ページ参照)
ここで上記の図3の35°ラインを下川さんの計画に重ねてみます。
それが図4です。この図は下川さんが計画したRC擁壁の構造基準で考えたときに、土圧計算の影響エリアです。
「なんで、下川さんが上川さんの土圧まで受け留めなければならないのか?」と感じる方もいると思います。
しかし、土圧には境界はありません。擁壁の構造基準はあくまでも敷地の安全性が優先されます。
そこで図5は、図3と図4を並べてみたものです。
では、これがなぜ下川さんにとってリスクになる可能性があるのでしょうか?
図5の左側は、通常の高さ5mのRC擁壁です。
右側は、通常の高さ5mのRC擁壁ではなく、上川さんとの敷地の段差2mを考慮した高さ7mのRC擁壁の構造で設計する必要があります。
仮に、左側の5m擁壁を1000万円で造り直す計画だった場合、右側の「多段擁壁」だと1.5倍~2倍の費用が掛かる場合が多々あります。そうなると擁壁費用が1500万円~2000万円に跳ね上がります。
いきなり当初の計画よりも500万円~1000万円の予算オーバーとなります。
土地を買う時に「多段擁壁のことなんて、仲介業者から聞いてないよ~」
ローンの増額をするか? 擁壁工事を諦めるか? 家の予算を削るか? 最初から分かっていたら「値段は少し高いけど高低差のない土地があったのに」、いずれにしろ最初から多段擁壁のリスクを理解していたら「こんな土地は買わなかったのに・・・・・(後悔)」
最後まで、お読みいただきありがとうございます。
ここで説明をさせて頂いた内容は、代表的な事例を、分かり易くご説明しております。実際の土地取引の場合には、その他の問題も含め、複雑な状況があるのが現実です。これから土地を買おうとしているあなたは、購入後に後悔をしないよう、自己防衛することを忘れないでください。
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